退職日まで
会社を辞める日が決まってから
言葉の物忘れがなくなる。
好きなものは沢山あったはずなのに、こうしなければいけないとか仕方ないとかそれが社会だとかそんなものが積み重なっていくうちに、いつの間にか何も好きじゃなくなっていた。
毎朝繰り返す宗教団体のような朝礼。人を押しのけて、押しつぶして乗る満員電車。
人々の死んだような目。
囁かれる誰かの悪口。
強要される正義。
何もかももう慣れたのだと思っていたが、自分の想いとかけ離れたものを受け入れることは出来ない。出来たのだとしたらそれは、何も感じないように心を殺した結果だ。
心を殺すことを辞めたら、とてつもない不安が湧いてきた。とてつもなく心が痛んだ。罪悪感。悲しみ。苦しみ。
けれど大事なことに気付けるようになった。道端にだって面白いものは転がっている。人の顔色なんかうかがわなくたって生きていける。言葉は絞り出すのではなく筆に任せること。心からわくわくすること。
全部子供の時には当たり前に出来ていたことだったのに、日に日にそんなものは大人だから出来ないのだと考えてしまっていた。
自分にしかできない魔法を探しに
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