無人駅の海色の小瓶に入った手紙
さああ・・・・
さわやかな風が吹き抜けていく。
ふと、想いついて、仕事を休んで、いつもと反対側の方に出かける。
どこに行くあてもなく、ただただ、心が赴くままに、いつもと違う、ここではないどこかへ。
いきついたのが、この海街駅だった。
誰もいない、無人駅の、風と海の音がここちよい。何をするでもなく、降りるでもなく、ただ、その駅の手すりから、海をぼーっと眺めていた。
そんなとき、その無人駅のかたすみに、きらりと光る小瓶のようなものが落ちているのを見つけた。
海色の透き通った小瓶。拾ってみると、中には、羊皮紙のような手紙が入っているのが見える。
もしかして、宝島の地図だったりして・・・・
なんだか少し、どきどきしながら、きゅぽんとその小瓶の蓋をあける。
滑り出てきた羊皮紙風の紙には、こんなことが描かれていた。
異世界への招待状
もし、あなたが、どこへ行っても生きづらいと感じているなら
この世は恐ろしく、黒く、醜く、どこへ行っても居場所がないと感じているのなら
異世界に行ってみるのは、いかがでしょうか。
異世界はまず、朝目が覚めることが、楽しみです。
今日は何をしようかと、やりたいことがいっぱいあって、困るくらい。
差し込んでくる日の光のあたたかさに目を細めながら、ゆっくり珈琲を淹れて、ほっとひといきつきながら、今日の楽しみに想いをはせる。
そして一歩外に出れば、道端の花に笑いかけることができ、木々のこもれびはまるで、朝の星のように見え、虫のこえや、雨の音にも、やさしさを感じることができます。
出会う人出会う人、道ゆく人も電車にのる人もカフェの店員さんも、活き活きと目を輝かせ子供のように、遊ぶように楽しそうに生きている。
陰口も悪口もきこえてこない、凸凹でポンコツなことは個性だと愛されて、仕事ができなくても、そこに居てくれることが、お役に立つことだと言われている。
いっぱいミスもしていいし
時間や結果に追われない
やりたいことも思いっきりやっていいと言われ
突拍子もないアイディアも面白いと言い合い、どうやったらそれができるだろうとみんなでともに考える。
できないことや苦手なことはそれが好きな人が補い合い、それぞれが自分の得意なことや好きなことを、誇りを持ってつきつめている。
そんな大人がたくさんあふれ、子供たちは、早く大人になりたいなあ、と思っています。
水が山から集まり川となり海となり雲となりまた山から降り注いでくるように
人は自然の循環のなかで生き、
世界はこんなにも美しいと・・・
そう、こころから、想うことができる日々です。
――いかがですか。
そんなところは、遠い世界だと思いますか。
そんな世界なんて、ないと思いますか。
でも実は、そこはみんな気付いていないだけで、誰でも行くことができるんですよ。
じゃあ、その世界にどうやって行くのか・・・?
それが、
「引きこもって好きなことを仕事にする」ことです。
これは、好きなことを仕事にしている人がみている世界です。つまり、好きなことを仕事にしたら、見えるようになる世界なんです。
でも、好きなことを仕事になんてできるわけない・・・。
それは、才能がある一握りのひとができるものなんだよ・・・
私もそう、思っていました。
だからあなたは、かつての私。
だからこそ、私が証明する。
そんな異世界がほんとうに在ることを
そして引きこもって好きなことを仕事にする、その道標を。
異世界への招待状を、あなたに。
想いを込めて。
空飛ぶ引きこもり小説家
千聖(ちさと)より
このお話に興味がありましたら、つづきはこちらの隠れ家にて・・・と
この手紙の下に、その場所への行き方が記された地図が描いてあった・・・。
あなたは、この場所を訪れてみますか?
